制御車

制御車(せいぎょしゃ)とは、主として動力分散方式の鉄道車両において、運転席を有する車両のことである。また、制御車のうち電動車であるものは制御電動車と称し、制御車は動力を持たない車両のみを指す場合もある。

本稿では、制御電動車も含めて制御車として記述するものとし、動力のない制御車を区別する必要のあるときは、「制御付随車」と記述する。

解説

非貫通型のJR東日本E231系
貫通型のJR東海313系
非常時貫通のJR西日本223系

制御車の配置

動力分散方式の車両では、一般に編成を転回しないでそのまま折り返し運転を行うことから、編成の両側に制御車を配置するのが一般的である。そのため、制御車のことを先頭車とも呼ぶ。また、機関車客車による動力集中方式の列車においても、最後尾に制御付随車を連結して推進運転を行う場合があり、日本では観光用のトロッコ列車に使われることがある。

制御車の種類と記号

制御付随車の記号は付随車(T)にc(=controllerの略)を付加しTcとされるのが一般的であり、同様に制御電動車はMcとしている。事業者によっては、CTCMを用いるところもある(東京地下鉄など)。また、日本においては、制御付随車は「ク」と称されることが多い。同様に制御電動車はJR(および1959年以降の国鉄)では「クモ」の記号で称されるが、ほとんどの私鉄(および1959年以前の国鉄)では制御電動車と中間電動車を区別せず「モ」「デ」と称する。気動車も動力車の制御車は中間車と区別せずに「キ」と呼称し、制御付随車の場合のみ「キク」と称される。また、本来動力はないが、改番などで、"クモハ"と称される車両もある。

また、制御車の運転席は車両の片側に設けるのが一般的であるが、ローカル線などで単行運転を行う車両には、車両の前後に運転席が設けられており、これを両運転台車と呼ぶ。両側に運転席があることから、cMcの記号が用いられる。

交流・交直流電車では、床下機器配置の都合で付随車にパンタグラフを装備するケースが散見されるが、制御付随車でも同様に見られ、この場合の記号はTAcあるいはTpcとされる。

貫通型と非貫通型

制御車には正面に貫通扉を備える貫通型と、貫通扉のない非貫通型がある。貫通型は運転席が狭くなる欠点があるが、他の編成と連結したときに、幌を用いて編成間で乗務員や乗客の行き来が可能となる。閑散時間帯は短編成、ラッシュ時は併結運転を行う東海旅客鉄道(JR東海)では、在来線車両のほとんどに貫通型を採用している。

また、貫通型制御車には非常時のみ貫通となる車両もある。地下鉄およびそれに準じる路線では、規則により編成をすべて貫通構造とし、編成の前後に非常用の出入り口を確保することが定められている。ただし、非常時のみ貫通構造であればよいため幌は備えておらず、通常時においては編成間の行き来はできない。非常時貫通型は、地下鉄路線の制御車に多く見られるほか、E217系西日本旅客鉄道(JR西日本)の在来線車両の多くに採用されている。

これらの違いは外観に異なる印象を与える。一般に貫通型はオーソドックスなデザインとなり、逆に非貫通型はデザインの自由度が高く、流線型の制御車は大半が非貫通型を採用している。非常時貫通型は貫通扉にプラグドアを採用する例が多く、非貫通型と同様のすっきりした外観が得られるほか、貫通扉を非対称配置とした例もある。

制御車の設備

制御車は運転席を備えるが、多くは客室から仕切られた運転室となっており、後尾車となるときは車掌が乗務する車掌室となることが多い。したがって、運転設備のほか、車掌業務に使われる放送設備や扉開閉スイッチを備える。また、車両を留置する際の手ブレーキ装置を備えるのが一般的である。

そのほか、他の編成と併結するためのジャンパ栓等を備える。近年ではジャンパ栓接続を省力化するため、連結器下部に電気連結器を装備し、連結と同時に電気的な接続を完了するものが一般的である。

制御車の方向

電車の編成では、片側に制御関係の引き通しを設備するため、制御車を向かい合わせに連結しようとすると、ジャンパ栓や電気連結器の配置が180度逆転することになる。したがって制御車同士を向かい合わせに連結する必要がある場合は、ジャンパ栓を両側に装備した両渡り車として両方向兼用としたり、向きによって電気配線等を変えて連結方向を固定(片渡り車)したりする。旧国鉄・JRでは、車両番号や形式の末尾の数字、番台区分により奇数向き・偶数向きと称して区分しており、偶数向き制御付随車にはTc'(ダッシュ・プライム)の記号が用いられる。また、編成の組み替えにより向きを変える必要のある場合には、一般に方向転換改造工事(方転)が必要となる。

関連項目