ハインズ・ウォード

No image.svg ハインズ・ウォード American football pictogram.svg
Hines Ward
ピッツバーグ・スティーラーズ No.86
refer to caption
2006年のウォード
基本情報
ポジション ワイドレシーバー
生年月日 (1976-03-08) 1976年3月8日(43歳)
出身地 大韓民国の旗 韓国ソウル特別市
身長 6' 0" =約182.9cm
体重 205 lb =約93kg
経歴
大学 ジョージア大学
NFLドラフト 1998年 / 3巡目全体92位
初出場年 1998年
初出場チーム ピッツバーグ・スティーラーズ
所属歴

受賞歴・記録

NFL 通算成績
(2008年終了時点)
レシーブ 800
獲得ヤード 9,780ヤード
タッチダウンレシーブ 72
Player stats at NFL.com

ハインズ・ウォードHines E. Ward, Jr. , 1976年3月8日 - )は大韓民国ソウル特別市出身のアメリカンフットボール選手。現在はNFLピッツバーグ・スティーラーズに所属している。ポジションはワイドレシーバー(WR)プロボウル選出4回の実績を持ち、第40回スーパーボウルではMVPに輝いている。アフリカ系アメリカ人の父と韓国人の母との間に生まれたハーフアメラジアンコリアンアメリカン)である。

経歴

高校時代まで

1976年3月8日大韓民国ソウル特別市で、アフリカ系アメリカ人軍人の父と韓国人の母との間に生まれる。人種差別を避けるため[1]、生後5ヶ月で家族と共にアメリカ合衆国ジョージア州フォレストパークに移住。後に、ウォードは「当時の韓国は、他の人種と一緒に住むことを容赦できない雰囲気だった。母は私と父のために韓国を出た」と語っている[2]。しかし、渡米後間も無く両親は離婚し、ウォードは母親の手によって育てられた[3]。地元のフォレストパーク高校(Forest Park High School)へ進学したウォードは、クォーターバック(QB)として才能を発揮し,USAトゥデイが選ぶオールアメリカンにも選ばれた[4]

大学時代

ジョージア大学カレッジフットボールの奨学生として進学したウォードは、ワイドレシーバー(WR)としてのキャリアを開始する。大学時代には通算で144のレシーブを決め、1,965ヤードを獲得した。これはジョージア大学のWRとしてはチーム史上2位の記録である。また、ランニングバック(RB)やクォーターバックとしても活躍し[5]、トータルで3,870ヤードを獲得。これもハーシェル・ウォーカーに次いでチーム史上2位の記録となっている[6]。在学中に経済学の学位を取得している[4]

NFLピッツバーグ・スティーラーズ

パスをキャッチするウォード(2006年)

1998年NFLドラフト3巡目(全体92番目)でピッツバーグ・スティーラーズに指名され、入団。幼少期の事故が原因の前十字靭帯の古傷がNFLのスカウト陣から嫌われ[7][8]、指名順位はウォードの実力からすると低いものになった。しかし、全て途中出場ではあったものの、ルーキーイヤーから全試合に出場する活躍を見せる。2年目からは先発WRのポジションを掴み取り、14試合に先発して61レシーブで638ヤードを稼いだ。

2001-2002シーズンには、94回のレシーブで1,003ヤードを稼ぎ、初の1,000ヤードレシーブを達成。同年にプロボウルに初選出される。以後、4年連続で1,000ヤードレシーブを達成すると共に、プロボウルにも4年連続で選出され、リーグを代表するWRとしての地位を確立していく。2005年には新たに5年総額2,750万ドルでスティーラーズと契約延長[9]2005-2006シーズンでは、新人からの連続試合出場が途切れ、1,000ヤードレシーブにも僅かに届かなかったものの、チームは2年目のQBベン・ロスリスバーガーの大活躍もあり、スーパーボウルに進出。

相手ディフェンスからタックルを受けるウォード

2006年2月5日に行われた第40回スーパーボウルでは、出場選手中トップの5レシーブで123ヤードを獲得。第2Q終盤には逆転TDへとつながる37ヤードレシーブ、第4Qには試合を決定付ける貴重な追加点となる43ヤードTDパスレシーブを決めるなど、要所での活躍が光り、アジア系として初のMVPに選出された[10]。ウォードのMVP受賞は、生まれ故郷である韓国でも大きく報道され、英雄的扱いを受けた[11]

スーパーボウル制覇後の2シーズンは、いずれも全試合出場はならなかったが、2008-2009シーズンは、4シーズンぶりに全16試合出場を果たし、レシーブ81回、4シーズンぶりの1,000ヤードレシーブとなる1,043ヤード、7TDをマーク。サントニオ・ホームズネイト・ワシントンと共に強力WR陣を形成し、チームを3年ぶりのスーパーボウルに導いた。ボルチモア・レイブンズとのカンファレンス・チャンピオンシップで右ひざを痛め途中退場するアクシデントがあったものの[12]第43回スーパーボウルには強行出場してチームを牽引、3年ぶりの王座奪還に貢献した。シーズン終了後、スティーラーズと4年総額2,200万ドルで契約を延長。2012-2013シーズンまでの在籍が決まり、スティーラーズ一筋のまま現役を終える可能性が高くなった[13]

2009年9月28日シンシナティ・ベンガルズ戦で、スティーラーズのWR史上初となる通算10,000ヤードレシーブを達成[14]

選手としての特徴

スティーラーズ一筋の現役生活でチーム歴代1位のレシーブ800回、9,780ヤード、72TDレシーブを記録しているチームの顔とも言うべき存在である。183cmというWRとしては大柄とはいえない体格ながら、タフで恐れ知らずのプレイスタイルであり、一度ボールを捕球すると、RBのような走りを見せる。また、ゾーンディフェンスに対してノーマークになる術に長けている[15]

卓越したレシーブ力に加え、ブロッカーとしてもリーグ屈指のWRと評価されている[16]。リーグ有数のハードブロッカーとして知られ、度々リーグから罰金処分を受けている[17]。後述の「ハインズ・ウォード・ルール」制定のきっかけともなった。ウォードのハードヒットを嫌う対戦相手も多い[16]。ウォード本人も、自分が守備陣に対して特に当たりの強い攻撃プレイヤーであることは認めているが、今後もプレースタイルを変えるつもりがないことを明言している[18]

特筆

韓国系としてのアイデンティティー

幼少期に両親が離婚したため、韓国人の母親の手によって育てられたウォードは、自らを「ハーフ・コリアン(半分は韓国人)」と表現し、腕にハングルで「ハインズ・ウォード(하인스 워드)」という入れ墨を入れるなど、韓国系であることを誇りに思っている[19]。しかし、元々韓国内で根強い人種差別を避けるために家族でアメリカに移住したという過去を持っており、アメリカ移住後も韓国系コミュニティからは、片親が韓国人ではないという理由で差別を受けたという[1]。ウォードは少年時代にアジア系との混血であることで周囲からからかわれ、韓国系であることを恥じていたと回想しているが、母と一緒に居る姿を黒人の友達に見られるのを嫌がるウォードに対し、母が涙を流すという出来事があって以来、韓国系であることを隠さず、むしろ誇りにするようになった[2]

2006年4月には母と一緒に生まれ故郷である韓国を訪問し、盧武鉉大統領とも対面。ソウル市からは名誉市民権を授与された[3]。しかし、この韓国訪問で、韓国での混血児に対する深刻な人種差別を目の当たりにしたウォードは、「韓国は美しい国だが、混血児は入隊もできず、スポーツをしてもチームメートのいじめに遭う国」だという感想を地元ピッツバーグのメディアに述べている[20]。生まれ故郷訪問をきっかけに、より一層混血児支援事業に力を注ぐことを決意したというウォードは、韓国の混血児童を支援する『ヘルピング・ハンズ財団』を設立するなどして、精力的にチャリティ活動を行っている[21][22][23]

ハインズ・ウォード・ルール

試合開始前のウォード(2008年)

NFLでは、選手の安全性を確保するために、毎年のように細かなルール変更を行っているが、2009年3月にブロッカーが相手守備選手の死角からヘルメット、上腕部、肩を使って、頭部と首にタックルすることが禁止され、これを犯すと15ヤードの罰退となった。このルール改正のきっかけとなったのがウォードであった。2008-2009シーズンの対シンシナティ・ベンガルズ戦において、ベンガルズの新人ラインバッカー(LB)キース・リバースに対し、ウォードが死角から激しいブロックを行った結果、リバースは顎を骨折、残りのシーズンを棒に振ってしまった。新ルールは制定のきっかけとなったウォードの名を冠して「ハインズ・ウォード・ルール」と呼ばれるようになった。ウォードは自身の名前がついた新ルール制定に対して「おかしな話だよ」と語り、不満を露にしている[18]

年度別成績

年度 チーム 試合出場 先発出場 捕球回数 獲得ヤード 平均獲得ヤード 最長距離 タッチダウン
1998 ピッツバーグ・スティーラーズ 16 0 15 246 16.4 45 0
1999 ピッツバーグ・スティーラーズ 16 14 61 638 10.5 42 7
2000 ピッツバーグ・スティーラーズ 16 15 48 672 14.0 77 4
2001 ピッツバーグ・スティーラーズ 16 16 94 1,003 10.7 34 4
2002 ピッツバーグ・スティーラーズ 16 16 112 1,329 11.9 72 12
2003 ピッツバーグ・スティーラーズ 16 16 95 1,163 12,2 50 10
2004 ピッツバーグ・スティーラーズ 16 16 80 1,004 12.6 58 4
2005 ピッツバーグ・スティーラーズ 15 15 69 975 14.1 85 11
2006 ピッツバーグ・スティーラーズ 14 14 74 975 13.2 70 6
2007 ピッツバーグ・スティーラーズ 13 13 71 732 10.3 25 7
2008 ピッツバーグ・スティーラーズ 16 15 81 1,043 12.9 49 7
170 150 800 9,780 12.2 85 72

(2008-2009シーズン終了時点)

記録・表彰

脚注

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  1. ^ a b 新しい英雄出現に熱狂…ハインズ・ウォード選手 中央日報(2006/02/08)
  2. ^ a b 수퍼볼 MVP 하인스 워드는 누구인가하인스 “모든 게 어머니 덕분” 朝鮮日報韓国語)(2006/02/06)
  3. ^ a b スーパーボウルMVPのウォードが、ソウル名誉市民に NFL JAPAN.COM(2006/04/07)
  4. ^ a b Official site of the Pittsburgh Steelers - Hines Ward Career Highlight
  5. ^ CNN/SI - NFL Draft - Hines Ward - April 13, 1998,CNN/SI(英語),2009年11月1日閲覧
  6. ^ Hines Ward - Football (1995-1998) - Georgia's Top 10 All-Time Athletes,SI.com(英語),2009年11月1日閲覧
  7. ^ Jim Corbett (2006年2月8日). “Ward takes place among Steelers' legends”. USA Today Sports Weekly. http://www.usatoday.com/sports/football/nfl/steelers/2006-02-08-ward-legacy_x.htm 
  8. ^ Ed Bouchette (2007年10月4日). “Steelers Notebook: Holmgren puts Super Bowl in past”. Pittsburgh Post-Gazette. http://www.post-gazette.com/pg/07277/822761-66.stm 
  9. ^ Steelers, Hines Ward iron out contract extension,USA TODAY(英語),2009/04/25
  10. ^ スティーラーズのWRウォードがスーパーボウルMVP NFL JAPAN.COM(2006/02/06)
  11. ^ チョン・ガンヒョン,新しい英雄出現に熱狂…ハインズ・ウォード選手,中央日報,2006/02/08
  12. ^ スティーラーズHC、エースWRのスーパーボウル出場は問題なし NFL JAPAN.COM(2009/01/21)
  13. ^ スティーラーズ一筋! WRウォードが2012年まで契約延長 NFL JAPAN.COM(2009/04/26)
  14. ^ Mike Prisuta,Ward can't enjoy his record,steelers.com(英語),2009/09/28
  15. ^ ボールディンとウォード、共通点の多い両WR,NFL JAPAN.COM(2009/02/01),2009年9月12日閲覧
  16. ^ a b スティーラーズWRウォード、報復の心配せず NFL JAPAN.COM(2008/11/19)
  17. ^ ベンガルズの“ドラ1”LB、あごの骨折で今季絶望 NFL JAPAN.COM(2008/10/21)
  18. ^ a b 「ハインズ・ウォード・ルール」にウォード本人が物言い NFL JAPAN.COM(2009/05/07)
  19. ^ 韓国系のハインズ・ウォード、スーパーボウルMVPに
  20. ^ ウォード「韓国は美しい国だが、混血児を差別」 朝鮮日報(2006/05/15)
  21. ^ Finder: Hines Ward scores big for social change post-gazette.com(2006/04/09)
  22. ^ Ward kicks off his new charity post-gazette.com(2006/03/30)
  23. ^ Hines Ward Hosts Children From South Korea KDKA(2008/11/07)

外部リンク

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