ふらんす

ふらんす 
学術分野 フランス語学習及びフランス語圏文化
言語 日本語
詳細
出版社 白水社
出版国 日本
出版歴 1925年
出版間隔 月刊
分類
ISSN 0386-9946
外部リンク
プロジェクト:出版Portal:書物
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ふらんす』は白水社が刊行している雑誌である。フランス語フランス語圏の文化を専門とする。1925年に創刊し、2015年時点での発行部数は会社発表で8000部ほどである[1]

来歴

1925年1月、フランス文化やフランス語を専門にする雑誌『ラ・スムーズ(種まく女)』として、白水社より刊行が開始された[1]。創刊号には刊行当時に駐日フランス大使であった詩人のポール・クローデルも寄稿している[2]。当初は内藤濯や重徳泗水などフランスに詳しい文化人による「同人誌」に近いものであったという[1]。創刊当時は学術的な内容が中心であったが、与謝野晶子堀口大學による詩歌なども掲載していた[1]。白水社社長である及川直志は、この雑誌が発行された背景には第一次世界大戦後にドイツと日本の交流が盛んになる中、フランス文化に関心を持つ者たちが対抗意識を燃やして日仏交流に力を入れ、1924年に日仏会館を開館するなどフランス文化の紹介を積極的に行おうとする動きがあったことを指摘している[1]

1928年10月より雑誌の名称を『ふらんす』に変更し、このタイトルのまま2016年9月現在まで発行を継続している[1]第二次世界大戦の最中、1945年の春に白水社が戦災で火事に見舞われたため、この時に一時休刊を余儀なくされたが、1946年の5月には復刊している[1]

戦後はアンドレ・ジイドロジェ・マルタン・デュ・ガールなどフランスの著名な文人からの寄稿も受けた[1]。1970年代以降は内容が大衆化したが、90年代以降は景気の悪化やフランスによる核実験などの影響で部数が落ち込み、廃刊も検討された[1]。語学コンテンツなどのてこ入れを行いつつ刊行が継続され、2005年には創刊80周年記念として、過去の『ふらんす』収録記事から代表的なものを収録した『「ふらんす」80年の回想』を刊行した[3][4]。本書は「日本人のフランス観の変遷がうかがえる」内容であるという批評を受けた[5]

日本の語学雑誌としては最古参であった『英語青年』が2009年をもって紙媒体の雑誌を休刊し、2013年にウェブ版も終了したため、2016年9月時点で日本で刊行されている語学及び地域文化関連雑誌としては最も古い[2][6]

2015年1月7日にシャルリー・エブド襲撃事件が発生したすぐ後の同年3月6日、特別号として『シャルリ・エブド事件を考える』を刊行している[1][7]。本書には襲撃事件の直接の引き金となった諷刺画は掲載されておらず、編集部は「表現の自由や風刺とは何かを考える」ためには諷刺画自体の掲載は不要であるという見解を示した[8]


フランス語教育

白水社は伝統的に語学教科書に力を入れている出版社であり、『ふらんす』はフランス語の学習及び教育を主要なテーマのひとつとしている[3]。雑誌名を『ふらんす』に変更した頃から雑誌と連動して語学の講習会を開催、1970年代頃からは初学者向けの記事を増やし、90年代以降は音声教材のCD付録を採用するなど。フランス語教育関係の企画を継続的に実施している[1]

評価

フランス語学習者の間では一定の知名度がある語学雑誌であると言われている一方[1]、言語学習にとどまらず「フランス文化を伝える国内唯一の専門誌[9]」「フランス語圏文化を紹介する伝統ある雑誌[10]」と評され、広くフランス語圏の文化を専門とする古参雑誌として一定の評価を得ている。創刊80周年を記念して刊行された『「ふらんす」80年の回想』に関する日経新聞の書評記事によると、「近代の日本人にとって、フランス文化は西洋の香気を伝えるあこがれの的」であり、「そんな精神風土を伝える雑誌」であると評価されている[3]。同書が刊行された際、高橋豊は『ふらんす』を「英語帝国主義[2]」に対する対抗軸のひとつとして位置づけ、亀和田武も「英語への一極集中、グローバル化[11]」の中で生き残ったフランス語雑誌として評価している。2015年のシャルリー・エブド襲撃事件について『シャルリ・エブド事件を考える』を刊行した際、専修大学教員の山田健太は同様の特集を刊行した『現代思想』とともに、『ふらんす』をこうした事件の際に深い取材が行える「専門的雑誌」であると評している[12]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 及川直志「ふらんすの風載せて90年――雑誌「ふらんす」1925年に創刊、仏語・文化など日本に紹介」『日経新聞』2015年4月21日朝刊、p. 40
  2. ^ a b c 高橋豊「発信箱:「ふらんす」80周年」『毎日新聞』2005年10月25日、東京朝刊、p.2。
  3. ^ a b c 「西洋の香気伝える雑誌「ふらんす」、選集に(文化往来)」『日経新聞』2006年1月6日朝刊、p.44。
  4. ^ 「ふらんす」80年の回想”. 白水社. 2016年9月3日閲覧。
  5. ^ 国末憲人「(本)「『ふらんす』 80年の回想」 仏文化観の変遷記す」『朝日新聞』2005年10月27日朝刊、p. 31。
  6. ^ 「英語青年」休刊へ 110年の歴史に幕”. 朝日新聞 (2008年12月16日). 2016年9月3日閲覧。
  7. ^ シャルリ・エブド事件を考える”. 白水社. 2016年9月3日閲覧。
  8. ^ 「「風刺」と「侮辱」の間で 「シャルリー・エブド」転載本発行」『朝日新聞』2015年2月11日朝刊、p. 33。
  9. ^ 「[出版あらかると]「ふらんす 80年の回想」白水社刊」『読売新聞』2005年11月20日東京朝刊、p.17。
  10. ^ 「[読書情報]本よみうり堂3月8日」『読売新聞』2015年3月8日、東京朝刊、p.12。
  11. ^ 亀和田武「(亀和田武さんのマガジンウオッチ)「ふらんす」80周年に思うこと」『朝日新聞』2005年10月30日朝刊、p.16。
  12. ^ 山田健太「月いち!雑誌批評:多様性担う専門誌」『毎日新聞』2015年4月20日東京朝刊、p.6。